代表メッセージ
皆様は誰から言われる「ありがとう」が一番嬉しいですか?
いつも元気で優しい祖母、小さい時から私が少しでも何か手伝うと「ありがとう」と褒めてくれる。私はそれが嬉しくてしょうがなかった。
そんな祖母が認知症になったのは私が、16歳の頃、それまで同居していた私が都内の高校に入学した為、顔を合わせる機会が全くなくなっていた時だ。
当時は認知症ではなく痴呆症と呼ばれ、私はその言葉も、意味も全く分からなかった。いや、分かろうとしなかったのかもしれない。
おばあちゃん、ぼけちゃったんだ・・・。
ただそんな風にしか思わなかった。
そんな祖母の将来を心配した母は全く右も左も分からない介護の世界にあっという間に飛び込んで行った。母の行動力に私は幼少期からいつも驚かされてきたが、私はその時もあまり関心が湧かなかった。「介護という大変であろう世界に良く自分から行ったな。」そのぐらいの気持ちしかなかった。
その後しばらく時間が過ぎ、大学在学中にボランティアである介護施設を手伝いに行った時、私は衝撃を受けてしまった、悪い意味で。
そこで従事している職員さん達は入居者様に対してまるで小さい子供に話し掛けるかのように接しており、同時に見下しているように感じた。
大学では法律を学んでおり、友人の誘いでたまたまそのボランティアに参加した無知な私はその職員さんに何故そのような接遇をするのか尋ねたら「この人は癖呆だから」で終わり。納得のいかない当時生意気な私は自分の家族が同じような接遇をされても構わないのですかと更に尋ねると「何だこのガキは、何も知らないくせに」というような怪訝な顔をされた。
もしかしたら祖母もこんな介護をうけているのだろうか・・・。ものすごく不安に感じたのと同時に、母が介護の世界に飛び込んだ理由が分かった気がした。
そんな事から私も介護と言う世界に興味を持ち、独立するまでいくつかの介護施設を見てきたがやはり最初に感じた見下している感じは多かれ少なかれどの施設でもあった。また、ご家族様の中には面倒を見てもらっている、という感情からか思った事を施設側に伝えられないで悩んでいる方もいた。
なぜ自分の親のように、祖父母のように、そしてお客様に対するような接遇が出来ないのか、私は不思議でしょうがなかった。それと同時に、今のこの国の介護施設の料金は種類の違い、ハード面での違いはあれど、入居一時金等含めて適正な価格なのだろうかという思いもあった。
次第に私は、どのような介護が必要な方も、またそのご家族様も生まれ育った土地で身体面、精神面、金銭面から安心の出来る介護施設を作りたい、どんな職員さん達も胸を張って職務出来る会社を作りたいという思いが強くなった。
けれども、当時の私の根底にあったのは『祖母を自分の素晴しい施設で介護をしてあげたい、そしてまたあの頃のように「ありがとう」と言ってもらいたい。』だった。
その気持ちはどんどん大きくなり、また周りの方々のご支援もあり平成20年5月、「株式会社ル・グラン」を設立。
その後5年程が経過し紆余曲折はあったが、経営も順調に運び、まだまだ満足はしていないが優秀な職員さんも多く入社頂き、祖母を本格的に迎えられる施設も出来てきたかなと思っていた矢先の平成25年8月、祖母は突然この世を去った。
「何故もっと早く良い施設に出来なかったのか、自分の努力が足りなかったのではないか、何の為にル・グランを設立したのか」病院に向かっている道中、多々自分を責めた。
しかし、亡くなった祖母の顔は私に対してとても穏やかに「正治、おばあちゃんの為に良く頑張ったね。ありがとう」と私が子供の頃一番嬉しかった言葉を言ってくれている様な気がした。それと同時に「あなたにはもう沢山の守らなければいけない方達がいる、もっと頑張りなさい」と激励されているようにも感じた。
私を介護の世界に導いてくれた祖母はもういない。しかし私には既にご入居頂いてる多数のお客様とそのご家族様、そしてル・グランで働いてくれている職員さん達、いずれも守らなければいけない沢山の【家族】がいる。
その方達が本当に「入居して良かった」「この会社で働けて良かった」と思って頂く事をいつも目標に、今後も会社経営者として覚悟を持って精進してまいります。
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